港湾空港タイムス:海流気流港湾空港タイムス紹介に戻る

 中学生の頃だったか、国語の教師が教科書に載っていた「少年老い易く学成り難し・・」を読みつつ私たちを諭していた。私はその時に窓から校庭を眺めながら、「そんなことは分かっている」と嘯いていた記憶がある。そしていつの間にか古稀を過ぎ、喜寿を迎える歳になろうとしている。ここまで生きながらえさせてくれた社会や父母への感謝は強いものがあるが、「一寸の光陰」を軽んじてきた結果、何の成果もあげることがないまま、永遠のかなたに消滅して行くことだけは確かである。人生で何かの成果をあげることが必要かどうかは別にして。▼私世代の方は次の童謡を知っているであろう。「村の渡しの船頭さんは今年60のおじいさん。歳はとっても舟漕ぐ時は元気いっぱい櫓がしなる」。昭和初期初出の歌だと思うが、当時は60歳と言えばおじいさんであり、その歌詞に何の違和感もなかったことが分かる。米国では80歳のバイデン大統領が続投に執念を燃やし大統領選を戦おうとした。トランプ氏も私よりも年長だが、演説時の独特の手振り、身振りは青年のそれである。こうした事象を眺めていると、人間、いくら元気でもいつか終焉を迎えるものの、生きている限りは「一寸の光陰、軽ろんずべからず」との思いで日々を過ごすべきである、と思いたい。(令和6年9月16日号)

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