トランプ大統領の就任である。外見に似合わず優しい心の持ち主でもある。親しかった安倍元首相の死去には涙を流し、昨年は自宅に昭恵さんを招きもてなしてくれた。それだけでも熱い心を持っている方だと分かる。私人とはいえ、昭恵さんを遇してくれたことに私は日本の誇りをも感じた。一方、移民の排除、カナダを米国51番目の州に加えることや、パナマ運河の米国への譲渡、グリーンランドの買い取り等々にも言及している。独善的で荒唐無稽のようにも聞こえるが、いずれも正道である。メキシコ、カナダからは麻薬が大量に入り込んでおり移民阻止を兼ねた手段である。またパナマ運河は中国企業の管理下にあり、グリーンランドは私たちが目にする日本版の世界地図では、北極圏の一部にしか見えないが米国とは目と鼻の先にあり、ロシアや中国が狙う北極圏航路の要の位置にある。批判されている関税の問題も、世界制覇を目論む中国の軍備拡張をこのままにして置けないとの決意の現れである。してみれば、これらの政策は何も突飛ではなく、これまで誰も踏み込めなかった諸課題を解決してくれる英断でさえある。実現すれば英雄として世界史に名を刻むだろう。▼それにしてもこうした激動が始まろうとしている中にあって、心配なのはわが日本である。石破首相はいまだにトランプ氏との会談に臨めていないが、会談の場が整ったとしても一体何を話し合うというのか。そもそも世界の耳目を集める決意や主張を持っているのか。不安でしかない。(令和7年1月20日号)